Master's Laboratory
Master's Laboratory
2003-03-11 Tue

 約2ヶ月ぶりの更新です。非常に申し訳ないです。こっちのカウンターがちゃんと回ってるのに更新しないのはいかがなものかと思いつつ、3学期は色々とテストやら行事やらが多くて。

 それじゃあ、近況報告でも。一番最後にとある発表があるので読んでいただけると幸いです。

 まず、放送部の方では相変わらず動き無しです。一応機材要望を提出したのですが、結局、卓以外は流れそうです。理由は音質にはこだわらないからだそうです。音響で大切なのは音質であることには違いありません。そのために自分たちは全力を尽くすのですが、その努力の限界は機材の限界ではないでしょうか。ケーブルが断線しかかっている。ノイズがかかる。こういうのは、音質以前の問題ではないでしょうか。音響はジャンルに限らず本番一発勝負です。そこでノイズが少しでも被ったら、大目玉です。その為にリハがあるのですが、リハと本番で音が簡単に変わってしまう環境は、決してやりやすいものではないのですが・・・。第一そういうノイズは回避不能です。例えばケーブル一本取り替えれば済むような、卓は卓、アンプはアンプのように分業が出来ていれば良いのですが、あいにくうちにはそんなシステムがありません。これを卒業式の時に何度も感じました。将来的に予想される田中氏の受賞記念講演みたいなマスコミが来る行事で、飛んだりしたら本当にどうなるのでしょう。それでも機材の責任は0。放送部の責任が100なんです。不条理なものです。
こういうオペレートをプロのPA屋さんに頼んだら恐らく10万仕事だと思います。なぜなら、既存の設備が悪すぎて結局スピーカーから何から全部仮設になるからです。今にも落ちそうな吊り橋の上を命綱なしで渡らせられるうちらには、何の報酬も無しですよ。もしも既存の設備を使えって言われたら、普通のPA屋さんなら絶対に引き受けないと思います。その辺りをもう少し考えていただきたいと思います。
 それに放送部の部室を見ていて気付くことは今までの活動の様子です。高価なSONYのコンデンサマイクがあちこちに転がっている。ブースから放送室の卓にマイクがつながらない。使いもしない(中古品を通り越して骨董品になって皮肉にも価値が上がっている)機材が平気で残っている。やっぱり今まで何の注文も無くやっていたんじゃないですかね。放送部が今新しく導入したのは、パソコンを使ったアクセント等の指導。そして、ブースでの録音そして添削方式の指導です。結局、うちは先生も生徒も忙しい身なので、時間のある時に一人ででもっていうのがコンセプトです。これが今最低限の注文です。そして、その注文って言うのは学校ごとに変わってくると思うので、一概に業者任せにして決めるのも問題だと思います。それに機材って言うのは使ってあげないと、余計に寿命が短くなる(湿気・ほこりなどの環境の問題)ものだし、人間だってこの世に生まれて来た以上、自分に与えられた使命を全うしたいと思うでしょう。

 放送部の話はこれぐらいにして置いて、最近行った音響の講習会について。
2月9日、小杉ラポールで舞台と録音の講習会でした。こちらは全体としては理論の勉強には成りましたが、当然話ばかりでした。実際に機材を触ったのは録音したものの試聴の時とばらしの時くらいでしょうか。駅からかなり遠く、全体としては不満が残る内容でした。
 それに、引き替え2月16日の砺波市文化会館でのロックバンドの照明と音響の講習会は理論は殆どありませんでしたが、実技の時間が大変長く、内容としては満足できるものでした。一応志願して、返しの仕事をやらせてもらいました。返しっていうのは、ライブの時の音響の仕事の1つです。会場全体に音を広げるSR(PA)、内容を記録する録音、そしてアーティストが歌いやすい環境を構築するのが返しです。ライブに行ったら、アーティストの前に三角のスピーカーがあると思いますが、それが返しのスピーカーです。講習会終了後、講師の音屋伊藤さんの伊藤さんと連絡先の交換をして、この後も何かイベントがあったら見せてくださいとお願いしておきました。
その一回目が3月にありました。小矢部付近のいくつかのアマチュアバンドのライブの音響でした。久しぶりに胸がときめきました。音響は福岡のSTAGE WORKSHOPさんと、金沢の音屋伊藤さんの合同でした。人がいないらしいんですね。音響周りは全部仮設です。スピーカーはフロントはウーハー(低音用)が左右各2つ、高音用のスピーカーが左右二つ。サイドの返しが、高音・低音各1つ。ギターの返しは4つ、ボーカル2つ、ベース2つ、ドラム1つ、キーボード1つ。今回はSRと返しを同じSound Craftの8000-32という卓でやったのでうちらの仕事は主にステージ上の転換、マイクのシューティングです。マイクは、ボーカル・コーラスは58、TBは急遽クロスランドで58を借りました。思わずTBが無かったりする。ギターは、57。アンプは持ち込みのものに加えて、JC、Marshall、YAMAHAです。
 ベースはダイレクトボックスに接続、キーボードはサブミキサーを通して直接卓へ、その他エレアコもダイレクトボックスに接続でした。ドラムは、スネアに57、金物には391、タムには421が使われていました。あと、MCも。実際音響と言ってもそっちの仕事よりは事務の方が多かったような気が。主催者は傍観決め込んでたし。伊藤さん曰く「これで標準くらい」と。色々大変だね、PA屋さんって。でも楽しかった。アンプだけで20チャンネル。入力は16+8チャンネル。出力に16チャンネルのマルチを使いました。やっぱり、このくらい安心できる機材が揃っていると精神的には少しは楽になります。
 それで今見ている伊藤さんという音響屋さんは、実は中部高校の演劇と大きな関わりがあるんです。県大会の時に中部高校だけ、音響室じゃなくて袖でオペレートしていました。その時に、O1Vを使っていたのですが、O1Vには空間系のエフェクターが内蔵されています。そのエフェクターを利用して、本番で時計の最後の音だけを自然に響かせたかったのですが、それを高岡文化のスタッフに相談していたのですが、大会の前日伊藤さんが用事で高岡文化ホールに行ったとき、偶然ホールのスタッフがうちらの音響の事を相談したらしいのです。思わぬところでつながるものです。
 次は大山町の町民演劇塾。新年に入って何人か新しい人も加わってキャストは決定。照明はプロの方がされるそうです。音響はいつの間にか3人に増殖。とりあえず音の方も8割くらい決まりました。普段の練習では全く音響室に入って操作出来ないので、MD二枚のうち1枚だけを舞台袖で操作しています。大山の音響室は舞台の状況を判断しにくく、音量の決定もしにくいので、卓を持ち込んで下でやることにしました。客席の中盤に8チャンネルのマルチケーブルのコネクタとインカムのコネクタがあるので、そこに持ち込みの卓を置いてやるつもりです。
具体的にはワイヤレスピンマイクを音響室の受信機で受けてパッチで直接下のマルチに送って、それを卓に入れた後インサーションでエフェクターにつないで微妙にエコーをかけます。それは、普通の系統とは別系統で音響室の卓に送って舞台上のエフェクター専用のスピーカーから出力します。地区大会・県大会の時にもやったのですが、音で最も大切なのは方向です。ある本によると人間の耳は0.0002秒の差を両耳で聞き分けてその差が、左から聞こえる右から聞こえると言うステレオ効果を生み出すそうです。それを何も考えずにメインのスピーカーから出力すると、感覚が狂う訳です。でも、スピーカーとマイクが近いからハウリングしそうでたまらない。イコライザをかませて回避すべきでしょうが、正直予算的に無理です。金をかけれないと言う制限がありますので。最悪、ミキサーのイコライザでいじってしまおう。しょぼいが無いよりはましだ。そして、ソースはMD二台。これをミキサーにつないで、メインの系統から出力します。これにTBを加えます。あと袖マイクを客席+ロビーに送るくらいです。つまりボリューム系の操作は下の卓でやって、音響室の卓でスピーカーに割り振ると言った感じです。非常に難解な方法を採っていますが、これが今ある機材を最大限利用できて、オペレートしやすい最善の方法と判断しました。3月30日に大山町民文化会館です。高校生は入場無料です。近くを電車が通っていますので、是非お越し下さい。希望される方には、下の卓なら触っていただいても構わないと思います。どうせMX12/4ですが(笑)

 演劇部の方は、相変わらず・・・・な状態です。俺恐らく3学期になってから10回も行っていない。そんな中で、送別会で演りました。15分ほどのショートコントを。というか台詞を殆ど覚えていたのが奇跡的なくらい。とりあえずは成功と言う事で終わらせておきたいと思います。昨日は学校から閉め出しを喰らったあとも、密かに市内某所でミーティングをしていたようですが、俺は2時間しか寝ていない状態だったので即うちに帰りました。そのまま爆睡。今は何とか復活しています。でも、テスト期間中には止めて欲しかった。真面目に。実テの報復しないといけないのにいつもと同じくらいかも・・・・。また面接で何か言われるし・・・・。

 重大な発表をする前に、自分がこの一年間で感じたことを。それは、音響の大切さっていうものです。例えば、大きな劇団が千人単位で客を入れるような大きな劇場で演る時には、音響は非常に大切です。拡声と言う仕事にしても、SEにしても音響がなかったらつまらないものに成るでしょう。そういう音響では、本当に多くのチャンネルを扱えるようなミキサーを使っています。劇団四季のシステムなんか、入出力まで自由に選択できるデジタル卓を使っていたはずです。それに引き替え高校演劇の音響って、オーダーで聞かれるのはデッキの事だけ。「MDですよね?」とだけ。逆にこちらから注文を付ければ、生意気に思われて不快な顔をされる。自分はそれが嫌です。あるところだと、GAINが右と左で違っているのにそのまま本番に突入しようとする。入力シグナルの触れ方の違いに気付いていなかったら、大失敗に終わるところでした。でも、リハーサルが殆ど終わった時に気付いた俺も悪いのですが、普通音響の卓って1つイベントが終わるごとに全設定をもとに戻すものですが、それを怠っている。未だに自分はその劇の人を信用していません。もう次からそこでやるときには向こうの職員にはノータッチでやってもらいたいので、全部持ち込んじゃおうかなって気分です。ちなみにそこは富山の円です。
 その話はおいといて、結局高校演劇で音響って何なんでしょうか?キャストの下にいるのが音響です。それは地位の問題ではありません。裏方に支えられて表方がいるんです。例えば舞台監督がいなかったら、緞帳が飛びません。照明がいなかったら舞台一面暗闇です。音響がいなくても、舞台は進みます。でも、舞台で大切なのは、舞台が出来るかどうか言う事じゃなくて、観客がどのくらい引き込まれるかって事ですよね。その時は表方も裏方も重要性は変わりません。その劇によって必要な裏方は変わって来ますが、照明と音響は基本セットですよね。
それで、重大な発表って何かと言いますと、俺は演劇部を辞めます。理由は、部活のメンバーと裏方と言うものの見方について意見が合わないからです。正直、これから裏方として後輩を育てて行かないといけないと言う思いはあります。でも、今の部活の方向性を見ると、後輩教育が無駄に思えるのです。これは部活の体質でもあり、地域に根付いた体質かも知れません。それに、今のままだと所詮自分のやっている音響は素人の音響を超えないと思うのです。
 そのために、音響家を志す人間としてFA宣言したいと思います。正直稚拙な腕しか無いのですが、結局演劇部の普段の練習では、MDラジカセしか使えない。大会前も、ステレオで定位(音の左右感)をいじれない。更に、その機材に信用がおけない状況で、音響室から外音が聞こえないと言う状態で自分は気持ち良く音響を出来ません。練習が出来ないと言うことは、正直言えば本番一発勝負に近い状況です。元々、音響は一発勝負なのですが、それにも限度があると思います。それに、パソコンで編集する段階である程度エフェクトをかけるって言う手もありますが、それが通用しない場合も多々あります。あおってCOとか、役者の動きに合わせて音量をいじるなどの効果をつける場合、一発勝負は辛いです。それに、俺は体育館の音響室にある機材をどれ一台として信用していません。ケーブル一本一本に関してもです。マイクも同じく。一番信用がおけるのは、マイクスタンドだったりします。そんな危ない橋を渡るくらいなら、最初から渡らない方が賢明です。
 そういって逃げる訳ではありませんが、今のハードの面での状況を打開出来ない限り、俺は二度とあの部屋に足を踏み入れる事はありません。音響する人間にとって、音響室に入った瞬間に、例え何度目であっても、ときめくような感覚を得られたらそこが優れた音響室では無いのでしょうか。それは決して優れた最新の音響機器が揃っているという事ではありません。そういう理由で俺は、演劇部を辞めます。非公式HPはそのまま残ると思ってください。もしかしたら管理人が変わるかも知れませんが、それまでは責任を持って管理していきます。どうせ卒業しても更新していくつもりでしたので。FAが持つ意味から言えば、ありとあらゆるジャンルの音響を引きうけると言うことなので、チョットは機材が信用できる状況になれば演劇部の音響をいつかどこかでやるかも知れません。
 放送部の方は、正直こっちからプッシュした方が機材を得るには効果的なので、こっちを重点的にするつもりですが、放送部にしても演劇部にしても機材は同じようなものですので、主に後輩の教育などを担当するつもりです。つまり、機材を生かせる人間を育てるということです。ビデオ部門でNコンも出る予定です。やっぱり実力的に認知させないと、お話に成らないので。こっちの機材を引き下げて、いつか体育館の音響室に戻る事はあるかも知れません。でも、自分のやりたい事を100%出来るかっていうと、放送部でも不安はついて回ります。ですので、これからも何度か伊藤さんについて回ろうかなって思っています。音響で一番大切なのは場数をこなす事だと思います。その伊藤さんの話によれば、音響屋になったら時間感覚はまず無くなるし、1週間殆ど寝ないっていう状態にもなるらしいです。それは同じ条件として、大きな音響屋に入るには、完全実力主義でバイトでの頂点を極めて始めて正社員の椅子が用意されるらしいです。でも、正社員の初仕事って、穴掘りらしいです。ステージから卓までのおよそ100メートル間、電源と入出力のケーブルを埋める作業らしいです。当然卓なんて触らせてもらえません。その代わり小さな音響屋になれば、収入は不安定だし、メジャーな歌手の仕事も少ないらしいです。音響屋として、メジャーな歌手の音響をやることが全てではないのですが、やはり名前があればある程度の実力の目安になるものだと思います。個人だと更に悪化。収入は極めて不安定。夏は死ぬほど忙しく、冬は本当に死んでますという状況です。夢をとるか収入をとるか。微妙な線です。

 ここに来た人には、自分がそんな状況でも音響をやりたいと言う意志が伝わってくれると非常に嬉しいです。いつか誰かに言った事ですが、演劇というのは舞台芸術です。そして、舞台って言うのはステージだけが全てではありません。魅せたい人がいて、見たい人がいるところどこでも舞台です。その上でやるのが舞台芸術だと思います。そのために多くのスタッフが努力をして、見る人が一番見やすい環境を作ることに苦労しています。たった2人のアーティストの為に、45000人の観客と、300人近いスタッフ、そしてたかが2時間の本番の為に1週間を準備に注ぎ込みます。その中でスタッフとか観客とかアーティストという仕切は、あくまでも空間を仕切るものに過ぎません。演劇でも、その3者の立場はそれぞれ違うけれども、1つの目標に向かって行く事には変わりありません。それを、「自分はキャストだから裏方の事は知らずに過ごしても構わない」と言うのは、自分の考えとは異なるものです。そして、身勝手な意見かも知れませんが、今高校で演劇をやっている人には、これからも演劇を続けてもらいたいと思います。これは単純な意味じゃありません。照明・音響など裏方の仕事を思いこみだけじゃなくて、実際に卓を触ったり、無駄でも良いから機材について知って欲しいと思います。そのために演劇から離れる必要はありません。大切なのは演劇と他の舞台芸術の枠を無くす事です。他の事を取り入れて、観る人が満足出来る様な劇を演ることが大切だと思います。
 ごめんなさい。最後は少し高いところから言うような感じになってしまって。でも、自分は今まで過去の風習を変えたいと思って努力してきました。でも、その夢を叶えてくれるのは、このページを見てくれたわずかな人だと信じています。それは自分と同じ学年であったり、次の学年であっても構わないと思います。中部大会を見た人なら誰でも舞台の上にスタッフの存在を感じたと思います。これ以上書くと長くなるだけですのでこの位にしておきたいと思います。

 最後まで読んでくれた人には本当に感謝しています。こんなつまらない話なら、1行で済むだろうって。自分でもそう思います。今の状況から逃げる以上、理由がどんなものであろうと許されることではありません。近々また何かを書きます。